仕事にソツがなく、決してミスをしないのに、部下の離職が絶えないというマネージャーがいるとしましょう。
チームリーダーは、自分たちの意見が反映されていないという部下の苦情をマネージャーに何度か伝えましたが、状況が変わらないので、思い余って、管理職であるあなたのところに、問題を持ち込んできました。管理職であるあなたには、マネージャーを首にする権限があります。
さて、あなたは、どうするでしょうか。
もし、あなたの主機能が、T(思考機能)であれば、“論理の筋道が通っているかどうか”が判断の基準になるでしょうし、主機能が、S(感覚機能)であれば、“事実だけ、お願いします”、N(直感機能)なら、“これから何が起こるか見通せます”、F(感情機能)なら、“誰も傷つかないかどうか”が、決断を下す際の基準となるでしょう。
もちろん、人は、ひとつの機能だけを使って、判断を下しているわけではありません。
多くの人が、チームリーダーの話に耳を傾けながら、話の筋が通っているかどうか考え、不満を募らせている部下の気持ちを思いやり、マネージャーを辞めさせたらどうなるか見通しをたてるといった具合に、すべての機能を総動員して判断を下しているはずです。
とはいえ、4つの機能S-N(感覚機能―直感機能)、T-F(思考機能―感情機能)をまったく同等に使っている人は、いません。指向の違いにより、優先的に使う機能が、人それぞれ違うからです。
MBTIでは、最優先で使われる機能を主機能、それを補佐する機能を補助機能、主機能と補助機能をサポートする機能を第三機能、あまり使わない機能を劣等機能と呼びます。
ESTJ, INFP, ENTJ など、4つの文字で表されるMBTI の結果を見ると、その人の主機能が何であるかがわかります。
MBTIの最後の文字が、P(知覚的態度)である場合は、外界の情報を集めることを優先し、外界に対して臨機応変に臨む傾向があるので、主機能は、情報収集の指標であるS-N(感覚機能―直感機能)のどちらか、J(判断的態度)の場合は、体系立てて物事を考え、スケジュールを決めて外界に臨む傾向があるので、主機能は、判断のしかたの指標であるT-F(思考機能―感情機能)のどちらかになります。また、エネルギーの向きを表すMBTIの最初の文字を見れば、主機能をどこで使っているのかを知ることができます。E(外向)の場合は外界で、I(内向)の場合は、内界で主機能を使っており、外から見えるのは、補助機能だというようにです。
指向には、序列があります。これをタイプダイナミックスといいます。
タイプダイナミックスの理論を元に考えると、
- チームリーダーの話に耳を傾ける。
- 話の筋が通っているかどうか考える。
- 不満を募らせている部下の気持ちを思いやる。
- マネージャーを辞めさせたらどうなるか見通しを立てる。
という同じ対処法であっても、指向の違いによって、どれに重きを置くかが異なることがわかってきます。
主機能が、Tの管理職であれば、2)が最優先となるので、主機能がFのチームリーダーが、3)を主張することに対して、非論理的であると感じるでしょうし、主機能が、Sの管理職であれば、事実の確認のために1)が最優先となり、Nを主機能とするマネージャーが、4)についてあれこれ話すのを聞いて、地に足が着いていないと感じる可能性があるわけです。
では、どうすれば誰もが納得できる賢い選択ができるのでしょうか。
指向に関する知識があれば、Tの管理職は、自分が、的確で簡潔な表現を用いる傾向があり、「なぜ」を知ろうとするために、その場の雰囲気や調和を軽視するところがあると自覚しているので、その点に気をつけながら、言葉を選びながら話すでしょう。また、F(感情機能)を主機能とする人が、協力や連携を好み、個人的な事情、これまでの経過、出来事、例などを共有することでコミュニケーションを図る傾向があることも知っていますから、ふだんより相槌を多めにして、Fのチームリーダーが、話を聞いてもらっていると実感できるように心がけるでしょう。
その結果、主機能Tの強みと主機能Fの強みを統合した賢明な決断がくだせるようになるのです。
鶴田育子のワークショップは、参加者一人ひとりが体験的に指向についての理解を深め、その知識を日常の場面で、すぐに応用できるように構成されています。
従来のやり方を続けるか、現象を多角的に検証していく科学的アプローチを取り入れていくか。
あなたは、どちらを選択しますか? |